11.03.2009

デザインタイドは谷尻誠の雲の中?

Design Tide Tokyo 2009

この雲の向こうに、どんな世界があるのだろうか?

エントランスを入るやいなや、幻想的な雲の中へ誘われました。それぞれのブースは雲によってぼやっと分けられ、輪郭はあるようでなく、しかしながらそれぞれのブースはしっかりと形づくられていました。ブースのひとつひとつが雲によって全体が緩やかに繋がっていました。

今年のデザインタイドの展示は昨年に引き続き、建築家 谷尻誠さんがメイン会場のデザインをされました。谷尻さんと言えば名古屋では二宮さんのギャラリーNさんです。デザインタイドのディレクターのBACHの幅くんと、先日のサロントークでお世話になったE&Yの松澤さんと同行していた谷尻さんに偶然お会いすることができました。この3人の個性の強さに加え、さらに多くのクリエイターやデザイナーが参加して創られたエキシビジョン故にもの凄いパワーを感じました。東京らしさが凝縮されているようでした。

20年ほど前にフランスのメゾンドオブエという見本市に初めて視察したときに受けたインパクトに近いものがありました。品の良いエルメスのオレンジよりもう少し赤みを帯びたオレンジ。完熟した柿にナイフを入れた時に溢れでるあのオレンジ! 展示場のエントランスを入ってからメイン会場に入るホールや廊下の壁、天井、床がすべてオレンジ。歩くひとりひとりのファッションを包み込み引立てあっていました。なぜオレンジだったのか? 今も謎です。

デザインタイドは。真っ白でふわふわの綿が会場中を包み込んでいました。それぞれの作品が雲の合間に点在している感じです。もはやデザインとアートに国境がなくなって来ていると感じました。

コミニュケーションアートです。アートがメッセージ(エモーション)を伝える媒体となっていると思います。谷尻さんはあくまでも建築家です。ギャラリーNの建物を観てもモダンで無駄な装飾はなくミニマルです。しかしどこかに細かな気遣いを感じるのです。今回のメイン会場の展示は抽象的な雲を使いひとつひとつのブースを規則的に空間分けしていました。しっかりと図面は存在するのです。それがアートとの違いでしょうか。プロダクトになることでアートが生活の中に入り込んでいく。モノとして使われ飾られる。アートが使われる時代になったのでしょう。

私もデザインとは何か? アートとは何か? と語る時代は終わったと思っています。しかし、このようなデザインの祭典を通じてそれを考える切っ掛けとなることは大切だと思います。デザインやアートは生活に必要なものか? 無駄なものか? 文化とデザインとの関係は? 

高度経済成長期、バブル期、デフレ期、そして現在とデザインとアートのあり方は明らかに変わりました。もしかすると変わっていないかもしれません。私達人間が変わってしまったのかもしれません。

デザインタイドの期間中は、100%デザイン青参道アートフェアなど様々なデザインイベントが開催されていました。東京の街をあるきながらいろいろと考えさせられました。あまりにも沢山のデザインが溢れていて、私の頭では消化出来ない状態になりました。でも溢れるばかりのデザインやアートが日本にはあることに未来を感じました。

ついにトヨタがF1から撤退しました。モータースポーツ文化からの撤退です。これから日本は経済的にも政治的にも厳しい時代にはいることでしょう。中国の台頭で質よりも量の時代がしばらくづづくことでしょう。日本はクオリティーで勝負するしか土俵がなくなる可能性もあります。わたしは今こそ日本の文化が頑張るべきだと思っています。日本から発信すること、日本で育むこと。この両方が大切ではないかと。

日本を代表するデザインの祭典、デザインタイドが海外へ進出すること。これが大切かと思いました。会場を出る前にCIBONEの横川さんと一年ぶりにお会いしてその話になりました。「東京デザインの役割」ですね。

名古屋のクリエイティブ・デザインシティーの役割はどうなのでしょうか? そんなことを考えさせられるウィークエンドでした。